外反母趾(がいはんぼし)

 外反母趾とは、第1中足骨が内反し、中足趾節関節(MTP関節)で母趾基節骨が外反し、MTP関節が内側に膨出した母趾の「くの字状」の変形をいいます。この突出部が靴などで繰り返し圧迫されると、滑液包炎や滑液包の肥厚が起こります。この状態をバニオン(Bunion)といい、疼痛の原因となります。母趾の運動に関与する骨や筋肉、腱のバランスが崩れてしまった状態が外反母趾です。そのバランスが崩れた状態がさらにバランスを崩すという悪循環に陥ってしまうため、変形がさらに進行していくのです。
 外反母趾の原因は大きく分けると3つあります。ひとつは第1中足骨頭の形態異常等の先天的な要因。次に靴、特に先の細い靴やストッキングの使用による母趾の圧迫。もう1つはリウマチなどの疾患が原因で関節の変形が起こったため生じる変形です。
 初期には、靴を履いて歩くと母趾のMTP関節から足底にかけての疼痛・不快感が現れますが、靴を脱ぐと消失します。MTP関節内側部には軽度の腫脹や発赤、圧痛などの炎症症状が認められる場合もあります。
 治療法で最も大切なのは靴の工夫です。前足部分が広く足趾が靴の中で十分動くだけのゆとりのあるものを使用し、靴の素材も柔らかいものがすすめられます。足底のアーチを支える足底板の挿入、夜間矯正保持装具の使用もひとつの方法です。しかし、外反母趾の予防や治療にはタオル・ギャザリングやあしゆびじゃんけんなどの足趾の運動療法が非常に重要です。外反母趾による疼痛が強く、日常生活にも支障がある場合で保存的治療に抵抗する症例に対して手術療法が行われることがあります。
 手術の方法は100種類以上あり、手術成績もさまざまですので、経験豊富な足の専門医の意見を聞いた上で手術を検討すべきだと思います。